Social and Behavioral Factors Associated with Lack of Intent to Receive COVID-19 Vaccine, Japan

Takeshi Arashiro, Yuzo Arima, Ashley Stucky, Chris Smith, Martin Hibberd, Koya Ariyoshi, and Motoi Suzuki

Emerg Infect Dis. 2022 Sep doi: 10.3201/eid2809.220300

新型コロナワクチンの接種意向と相関する社会・行動因子を検討する目的で、マーケティングリサーチ会社のアンケート調査結果を後ろ向きに解析した。ワクチン接種済みの者・接種意向のある者と比較して、接種意向のない者は、自分・家族が感染する不安や他人を感染させる不安、病床逼迫への不安が全くないと答えるオッズおよび、マスクの着用・手指衛生等の感染対策を実施していないオッズが高かった。一方で、直近1週間に友人・知人・家族に会いに行った、外食に行った、遊びに行ったと答えるオッズに違いはなかった。よって、ワクチン接種済みの者・接種意向のある者と比較して、接種意向のない者は、感染の不安が少なく感染対策をしていない傾向があり、直近の行動歴からも、新型コロナウイルスに曝露するリスクは同等〜より高い可能性が示唆された。

日時:令和4年6月30日-7月11日
Zoom開催
1.麻疹・風疹 2.HIV関連 3.インフルエンザ 4.レンサ球菌 5.カンピロバクター 6.結核 7.アルボウイルス 8.エンテロウイルス 9.ノロウイルス 10.レジオネラ 11.薬剤耐性菌 12.寄生虫(非開催) 13.リケッチア 14.アデノウイルス 15.大腸菌 16.百日咳・ボツリヌス 17.動物由来感染症









Significant role of host sialylated glycans in the infection and spread of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2

Saso W, Yamasaki M, Nakakita S, Fukushi S, Tsuchimoto K, Watanabe N, Nongluk S, Kanie O, Muramatsu M, Takahashi Y, Matano T, Takeda M, Suzuki Y, Watashi K

PLoS Pathog 18(6): e1010590 (2022)
doi: 10.1371/journal.ppat.1010590

約20年前に流行したSARSコロナウイルス(SARS-CoV)と比較して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界での感染者は桁違いに多く、その強い伝播力のメカニズム解明が求められる。本研究では、SARS-CoV-2は宿主細胞のシアロ糖鎖を利用して効率的な感染と伝播を可能とすることを示した。SARS-CoV-2スパイクS1サブユニットはα2-6結合型シアロ糖鎖に直接結合し、これによって宿主受容体ACE2と効率よく相互作用した。一方でシアル酸のSARS-CoV感染への影響はほとんど見られなかった。α2-6結合型シアル酸含有化合物はSARS-CoV-2感染を特異的に強く阻害することが明らかとなった。本研究成果は、SARS-CoV-2の効率良い伝播を説明する新たな分子機構を提唱するものである。

Structural insights into the HBV receptor and bile acid transporter NTCP

Park H, Iwamoto M, Yun JH, Uchikubo-Kamo T, Son D, Jin Z, Yoshida H, Ohki M, Ishimoto N, Mizutani K, Oshima M, Muramatsu M, Wakita T, Shirouzu M, Liu K, Uemura T, Nomura N, Iwata S, Watashi K, Jeremy R. H. Tame, Nishizawa T, Lee W, Sam-Yong Park

Nature
doi:https://doi.org/10.1038/s41586-022-04857-0

B型およびD型肝炎ウイルス(HBV、HDV)は肝細胞表面の、胆汁酸輸送体NTCP/SLC10A1に吸着することで感染を開始するが、その立体構造については長らく不明であった。本研究ではクライオ電子顕微鏡単粒子解析によりNTCPの立体構造を解明し、そのウイルス感染における各アミノ酸の役割を明らかにした。NTCPは、これまでに知られる近縁の胆汁酸輸送体とは異なり、9本の膜貫通αヘリックスからなり、各領域の位置や向きが変化することで胆汁酸とナトリウムを輸送することが示唆された。またウイルスとの結合には、第一膜貫通ヘリックスに存在する、27, 31, 35番のロイシンが重要であることが明らかになった。これらの結果は今後、HBV/HDVの感染機構の理解だけでなく、構造情報を基にした合理的薬剤設計を可能とする革新的な情報である。

Fungal Secondary Metabolite Exophillic Acid Selectively Inhibits the Entry of Hepatitis B and D Viruses

Kobayashi C, Watanabe Y, Oshima M, Hirose T, Yamasaki M, Iwamoto M, Iwatsuki M, Asami Y, Kuramochi K, Wakae K, Aizaki H, Muramatsu M, Sureau C, Sunazuka T, Watashi K

Viruses 14(4): 764 (2022)
doi:https://doi.org/10.3390/v14040764

B型およびD型肝炎ウイルス(HBV/HDV)は世界にそれぞれ2億9000万人、1500万人に慢性感染する公衆衛生上重大な病原体であるが、完治可能な治療薬は存在しない。本研究では北里大学との共同研究で、真菌由来天然化合物をスクリーニングし、Exophillic acidが抗HBV/HDV活性を持つことを見出した。この化合物はHBVおよびHDVが細胞に吸着する際に用いる侵入受容体ナトリウムタウロコール酸共輸送体(NTCP/SLC10A1)と直接結合して、ウイルスとNTCPの吸着を阻害することが明らかとなった。またExophillic acidは既存薬ラミブジンおよびエンテカビルに耐性のHBVにも感染阻害効果を持つことが分かった。以上より、この化合物は新しいHBVおよびHDVの治療薬開発に有用であると期待される。

Ligand recognition by the lipid transfer domain of human OSBP is important for enterovirus replication

Jun Kobayashi, Minetaro Arita, Shota Sakai, Hirotatsu Kojima, Miki Senda, Toshiya Senda, Kentaro Hanada and Ryuichi Kato

ACS Infectious Diseases, In Press
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsinfecdis.2c00108

エンテロウイルスの複製には、宿主細胞のタンパク質PI4KBとOSBPが必要とされます。今回、国立感染症研究所ウイルス第二部第二室と高エネルギー加速器研究機構構造生物学研究センターとの共同研究により、ヒトOSBPの脂質輸送に関与する領域のX線結晶構造解析による立体構造の決定に成功しました。さらにOSBP阻害剤T-00127-HEV2との相互作用に必要とされるアミノ酸残基を同定し、OSBPの新規活性解析法の開発に成功しました。これまでにT-00127-HEV2を含めて幾つかのOSBP阻害剤が報告されていますが、今回得られたOSBPタンパク質の構造を基にして、効果的な活性を示す抗ウイルス薬の開発が進むことが期待されます。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan